シナリオを読む

仕入れたシナリオ関係の雑誌をパラパラめくる。
目にとまったのが昭和34年1月発行の『キネマ旬報臨時増刊 名作シナリオ集』。
川島雄三監督・脚本の『グラマ島の誘惑』。
森繁久弥フランキー堺桂小金治三橋達也らが出演。三橋達也の役は「カナカ族原住民」。見たことはないが見たい。しかし、DVDは出ていないようだ。
シナリオも面白い。
脚本家が書いたシナリオはいわば映画の設計図のようなものだが、映画監督が書いたシナリオはすでに頭の中にある映画を文字に置き換えたものだから、映画を見ているように楽しめるものも多い。
『グラマ島の誘惑』はこんな感じでタイトルが出る。
「新刊書のカバー。書名「グラマ島の悲劇」。カラー・サンプルのようなカバーのデザイン。それにこの映画の題名がかさなると、滑稽なまでにパセティックな音楽がはじまる。表紙がめくられて、次々に出てくる口絵。それにかさなって、この映画をつくった共犯者……(失礼!)……責任者たちの名前が、目白押しに並んで行く。音楽の中から、飛行機の音や爆撃の効果音がきこえて来て、そのうちに、それが夜間空襲をうける海上輸送船の状態をあらわそうとしているのだとわかる。怒号、女の叫び声なんかも聞かせて、効果音がたかまり、タイトルが終わる。」
見たい。
「滑稽なまでにパセティックな音楽」を黛敏郎はどのように表現したのだろう。