屋根裏の散歩者

出張買取。まもなく取り壊されるお宅で、すでに引っ越しも済まされたということなので、あまり期待しないででかけける。電話での打ち合わせでも欲しいと思える本がなかったが、車で15分くらいの近所ということと、近隣の環境から想像するに、古くて大きなお宅らしい感じがしたので、一応でかける。
家の中は本当の残り物だけという感じ。家具や食器が散乱している。
1階と2階、それと屋根裏部屋があるという。1階と2階には残念ながらいい本がなく、しかも状態もいまひとつ。
屋根裏部屋はものすごく急な木の階段を上った薄暗い部屋。階段というより梯子のようだ。裸電球だけの照明という映画に出てきそうな部屋には、数十年手をつけていないようなガラクタが山となっている。そこに本棚が2本。ほとんどが昭和30年代の教科書やノート類。薄暗くて良く見えないし、ここもダメかと思いながら、全身真っ黒になって、一応全て確認する。すると一番下に積んであったのは、昭和20年代の「キンダーブック」など赤い背表紙の絵本や児童文学書100冊ほど。これで少し商売になったという安堵感と、ゴミになってしまう寸前で本を救えたという喜び。古本屋でよかったと思える瞬間。
「キンダーブック」などは別に縛って、依頼者に他の本とは違うということを説明して、きちんと買い取る。
残った家具などはすべて廃棄するというので、8ミリの映写機をいただいた。箱に入っていてきれいな状態だが、おろらくランプは切れているだろう。

南部古書会館で買い入れた本を仕分けしてから帰宅。
すぐにシャワーを浴びる。


映画の古本買います-建築の古本買います-古本買取 古本うさぎ書林